(1)自然を大好きになる第一歩

 さんデジをご覧の皆様、はじめまして! 岡山県自然保護センターの山田哲弘と申します。まずは自己紹介

私、山田哲弘は東京生まれ。しかし、生後3カ月には岡山市で暮らしていました。子供の頃から生きものが大好き。地元の小学校である岡山市立内山下小学校で学び、学校帰りは寄り道ばかり。そのころの主な遊び場は、岡山城、後楽園、旭川、西川緑道公園など、自宅の近くにある自然で、県庁の午後5時のサイレンが鳴るまで思いっきり遊んでいました。中学時代は理科クラブに所属、高校時代はなぜか演劇部。大学時代は納豆菌の遺伝子解析を真面目にやっていました。

生き物に関わる仕事がしたいと思い、平成6年に財団法人岡山県環境保全事業団に入団。環境調査部いきもの係に配属され、約13年間、岡山県内の野生動植物を現場で調査していました。

平成19年11月15日、岡山市北区下石井にある環境学習センター「アスエコ」に異動。現在、地球上で起きている環境問題の深刻さ、それを解決する方法のひとつ「環境教育」の大切さを学びました。そしてなにより、難しいことを分かりやすく伝えること、頭で理解するのはもちろん、心で感じてもらう伝え方の大切さを知りました。

そして平成26年4月1日から岡山県自然保護センターが勤務先となり、日々、岡山県の自然の素晴らしさを伝える活動とともに、私たちの身近にある自然の大切さを多くの方々に楽しく分かりやすく、感動と共に伝えることが自分のミッションのひとつとなっています。

生き物大好き!幼少のころの私

小さい頃から生き物が大好きだった私は、自宅周辺の公園で虫取りアミを振り回してチョウやトンボ、石をひっくり返してはダンゴムシやハサミムシ、川や用水路に入っては魚やカメなどを捕まえ、自宅に連れて帰っていました。

しかし、残念ながら、そこでは多くの生き物が死に、庭の植え込みにできたお墓を見るたびに生き物を飼う責任について深く考えさせられました。生き物を大切に飼うために,図書館で様々な図鑑を読み、捕まえてきた生き物について勉強し、その名前や生態を覚えていきました。

小学4年生の夏、今でも忘れられない出来事がありました。私は西川緑道公園で捕まえたアブラゼミのオスを自由研究で使用する標本にするため、お腹に「殺虫液」を注射器で入れました。

その瞬間、そのアブラゼミはとても苦しそうに羽をばたつかせて家の中を転がりだしたのです。その光景を見た瞬間、とてつもない罪悪感と、転がりながら弱り、命の火が消える瞬間を泣きながら観察し、そこで命の儚さ、そして命の大切さを教えられました。

自然を大好きになる第一歩

自然観察会のイベントを行っている時、子どもが捕まえた生き物を同伴のお母さんが見て,「ギャ~!」とか「うわ!気持ち悪い!」、「捨てなさい!」という反応を良く見ます。
子どもはその反応、そしてその表情をしっかりと見ています。それが子どもたちのその生き物への反応となり、私は自然から一歩一歩遠ざかっていくのではないかと心配しています。

父や母は、私がどんな生き物をとってきても、私の飼い方にも一切口出しせず、いつもじっと見守ってくれていました。

特に母は「きゃ~!」とか「そんな生き物、家で飼ってはいけません!」と一言も言いませんでした。多分…。

この様な環境があったからこそ、私はのびのびと生き物を飼うことができ、今の自分があるのだなと感謝の気持ちでいっぱいです。

保護者、特に小さな子どもを育てている「お母さん」にお願いがあります。子どもが「お母さん、これ!」と見せてくれた生き物は,どんなに苦手な生き物でも,ぐっと我慢して「うん!すごいね~!」とその日一番素敵な笑顔で答えてあげてください。それが自然を大好きになる第一歩。そしてなにより、お母さんに認められた子どもの笑顔はおそらくどんな宝石よりも素敵なはずですから。

やまだ・てつひろ 福山大工学部生物工学科卒。卒業論文のテーマは納豆菌のゲノム(全遺伝情報)解析。1994年岡山県環境保全事業団(岡山市南区内尾)に入り、環境調査部で県内の動植物の生態を調査。県のレッドデータブック作成などに携わった。2014年4月から岡山県自然保護センター(和気町)に勤務。